中古マンションを購入する際に、管理状態が良いことは購入条件のひとつではないでしょうか。
そこで、2022年4月から始まる「マンション管理適正評価制度」をご紹介します。
人間の健康状態を定期検診でチェックするように、マンションの管理状態の良し悪しを可視化して評価する制度です。
是非参考にしてみてください。
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マンション管理適正評価制度とは、一般社団法人マンション管理業協会によるマンション管理の評価制度です。
マンションの資産価値を上げるために定期的に管理状態をチェックし、誰の目にもわかりやすく評価を開示します。
これまで「マンションは管理が重要」と言われてきましたが、統一した基準は設けられていませんでした。
新たに設けられるマンション管理適正評価制度では、管理状態を数値化し、わかりやすく情報開示するため、購入検討者が安心してマンションを選べるようになるでしょう。
マンション管理適正評価制度の流れ
まず、マンションの管理組合から管理会社へマンション評価を依頼します。
マンション管理会社は管理状態をチェックし、認定者IDを発行したのちに登録システムを利用して評価シートの作成をおこないます。
そのあと、マンション管理業協会により審査と本登録がおこなわれ、マンション管理組合へ評価結果が通知されます。
審査の評価は国家資格を保有している「マンション管理士」もしくは「管理業務主任者」で、マンション管理業協会の講習を受講した認定者がおこないます。
マンション管理適正評価制度のランク決めのルール
マンション管理適正評価制度は、管理状態が点数によって可視化されマンションの総合評価がランクとして決定される特徴があります。
マンション管理適正評価制度のランク分け
5つのカテゴリーの点数が加算され、SからDの5段階のランク分けが決定します。
ランクごとの点数は以下のとおりです。
●S 90~100点 特に秀でた管理状態
●A 70~89点 適切な管理状態
●B 50~69点 管理状態の一部に問題あり
●C 20~49点 管理状態に問題あり
●D 0~19点 管理不全の恐れあり
マンション管理適正評価制度の評価カテゴリーとは
評価基準の5つのカテゴリーについて、項目ごとに解説していきます。
それぞれの項目に点数が定められていて、合計点数によりランク付けされます。
マンション管理適正評価制度の評価カテゴリー①管理体制関連事項
管理体制に関するチェック項目で、年に1度の総会の開催や、適正に議事録が保管されているか、管理規約が国土交通省が定める標準管理規約に準拠しているかを評価されます。
管理組合は年に1度、管理組合総会を開くことが義務付けられています。
その結果を総会議事録にまとめ管理会社が保管しています。
管理体制関連事項では法律に基づいた管理体制が整っているかをチェックされ、配点は20点です。
マンション管理適正評価制度の評価カテゴリー②組合会計収支関連事項
5つのカテゴリーのなかでもっとも高い40点の配点で、重要視されている項目です。
一般会計の余剰金の有無や、管理費などを滞納している住戸のパーセンテージ、修繕積立金の徴収方法などがチェックされる項目です。
マンションの会計年度が終了した段階で、3か月以上滞納している住戸がある場合は、滞納期間に応じて減点されます。
また、修繕積立金に関して加点される条件として、下記の項目が挙げられます。
●均等積立方式による徴収であること
均等積立方式とは、必要な総試算額を均等に割って一定の金額を徴収する方法で、徐々に値上げしていく徴収方法を段階増額積立方式といいます。
●計画している推定工事費より積立金累計額が多いこと
●組合の年度収入が長期修繕計画の年度収入と一致していること
組合会計収支関連事項の項目では、資金面の運営が健全におこなわれているかを判断します。
マンションの運営費が不足していると、必要な管理・修繕ができなくなることや、足りない費用を補填するために居住者の管理費を将来増額する可能性があります。
購入を検討しているマンションの資金運営についてはしっかりチェックしておきたい項目です。
マンション管理適正評価制度の評価カテゴリー③建築・設備関連事項
長期修繕計画の有無や、計画の見直し頻度、修繕履歴が保管されているか、法定点検の実施の有無などがチェックされる項目です。
国土交通省による長期修繕計画の規定では、5年ごとの見直しが推奨されていますが、マンション管理適正評価制度では7年ごととされています。
建築・設備関連事項の配点は20点です。
マンション管理適正評価制度の評価カテゴリー④耐震診断関連事項
耐震診断を実施しているか、また診断結果によって改修計画が正しくされているかなどがチェックされる項目です。
1981年以降に建てられたマンションは新耐震基準が採用されているため、問題がない限りポイントが減点されることはありません。
旧耐震基準のマンションでは、適正な改修計画があるかが高ポイントの鍵になります。
耐震診断関連事項の配点は10点です。
マンション管理適正評価制度の評価カテゴリー⑤生活関連事項
設備などで異常事態が発生した際の緊急対応や、消防訓練の実施の有無、防災マニュアルの整備状況などがチェックされる項目です。
消防訓練の実施が難しい場合は、「消火器の使い方」や「避難経路」の資料を配布することで消防訓練の実施と同等の扱いになることがあります。
生活関連事項の配点は10点です。
マンション管理適正評価制度で評価ランクが高いメリット
マンション管理適正評価制度で高評価だと、購入検討者や居住者にとってどのようなメリットがあるのかをご説明します。
評価ランクが高いメリット①管理の質の高さが認定される
マンション管理適正評価制度は、中古マンションを購入する際に一律の評価基準として活用できます。
これまで管理状況の情報開示はごく限られた内容であり、入居者に大きな影響を及ぼす内容であるにもかかわらず仲介現場で重要視されてきませんでした。
マンションを購入する段階で管理状況がわかることで、「住み始めてから、管理不全だとわかった」などのトラブルを事前に回避できます。
管理状況を重視してマンション選びをするのであれば、SランクやAランクの物件に絞って探しましょう。
購入時のチェックポイントとして効果的です。
評価ランクが高いメリット②保険料が安くなる可能性がある
多くのマンションは災害や火災の被害を想定して損害保険に加入しています。
損害保険について、評価ランクの高さに応じて割引が期待できます。
保険料は管理費から支払われているので、保険料が安くなることは居住者の支出を減らす大きなメリットです。
評価ランクが高いメリット③リセールバリューの向上が期待できる
管理適正評価制度によってマンションを客観的に把握できるので、管理組合にとって改善すべきポイントが明確になり、より良い運営に繋がります。
より高いスコアを得るための努力はマンションの資産価値を高め、リセールバリューの向上が期待できます。
まとめ
令和4年4月から始まるマンション管理適正評価制度についてご理解いただけたでしょうか。
マンション管理適正評価制度とは、マンションを一律の基準で評価するもので、購入を検討している方にとって多くのメリットがあります。
気に入ったマンションのランクを調べて、「管理体制が整っているか」「建設面は安心できるか」など購入する際にチェックしてみてください。
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